作家インタビュー第40回 けんじゃさん

インタビュー作家座談会

nikoli.comで活躍中のパズル作家にあれこれお聞きするコーナーです。今回のゲストはけんじゃさん。現在、男子大学生。水泳部に所属しているスポーツマンですよ。

(竹)子どものころのお話を聞かせてください

けんじゃ3歳からスイミングクラブに入っていました。物心ついたときには泳いでいた感じです。ニコリを知ったのも早くて、4、5歳くらいから読んでいました。母がずっとニコリの本を買っていたから、自然に手に取ったんだと思います。母は『パズル通信ニコリ』29号(1990年はる分)から買っていたようです

(竹)そんなに小さい時期からニコリをやっていたんですね。どんなパズルを解いていました?

けんじゃ点つなぎなどを解いていたようです。小学校に上がるくらいには、母のおかげで大量のバックナンバーが家にたまっていたから、ひたすらそれを読んでいました。パズルは大半が母に解かれてしまっていたので、読み物のコーナーが中心でした。文章がおもしろくて、夢中になりました。ニコリの文章にはいろいろ影響を受けていると思います。小学3~4年くらいで本格的にパズルを解くようになりました。最初はひとりにしてくれあたりをやっていました。いちおう解けていましたよ。学校の出し物で黒どこを作って出したこともあります

(竹)解くだけでなく、作るのもそのころからなんですね。小学3年とはずいぶん早いなあ。黒どこは、パズルをあまりやらない人にはわかりにくいのでは?

けんじゃはい、ルールを伝えるのがタイヘンでした。ほかにも、解読ボード(指示に従ってボードの文字列を消していくニコリのパズル)とかシークワーズを作ってまわりに解かせていました。まわりからの反応がおもしろかったです。小学5年ごろから、マス目が入った方眼ノートを使ってスリザーリンクなどを作るようになりました。その流れで黒帯のルールを考えついて、オモパのコーナー(新しいペンシルパズルのルールをみんなで考えるコーナー)に投稿しました

(竹)黒帯はニコリ94号(2001年3月号)に掲載されたパズルです。デビュー作だったんですね

けんじゃそうです。急に掲載誌が家に届いたときは、家族ぐるみで大騒ぎでした。それからはパズル作りの熱が上がりましたね。ニコリの投稿締め切りのたびに、そこそこの量を送っていました

(竹)なにがよかったんでしょう?

けんじゃ純粋に、自分で作ったものが載るのがうれしかったです。時間も今に比べればありましたし。自分のパズル遍歴でいちばんがんばっていたのは中学1年のころだと思います。『たのしいスリザーリンク』にたくさん載ったのが最盛期。あの本に載ったスリザーリンクで、今でも気に入っているのがあるんですよ。21番の問題です

(竹)どのあたりを気に入っているんですか?

けんじゃ数字をあまり多くあかさずに、導入から最後まで、あのサイズでやれることを過不足なく詰めこむことができたんです。自分の中で物語がしっかり成立している、自信作。そういうのを作ると満足しちゃって、そのあとしばらく次を作る気がしなくなることがよくあります(笑)。ニコリ100号のとき、区切りになる号で名前を残そうということで、なにかオリジナルのオモパを作って載せようと考えました。そうしてできたのがモチコロなんです

(竹)モチコロは数号にわたってニコリ誌面をにぎわせましたよね。その後も、量は減ったとはいえパズルを作り続けて、現在に至るわけですね。今、好きなパズルはなんですか?

けんじゃいちばん好きなのはスリザーリンクです。作家の個性が出やすいところが好きです。作る人によって、ぜんぜん違う問題になる。他人の問題を解いていて、自分の琴線に触れる場面があると、なにか達成感のようなものを感じます。それ以外にも、自分で問題を作るときに、その問題の最初の解き手という感覚で取り組めるというのも大きな理由ですね。自分が解いていて気持ちいい方向に狙っていける、ともいえます

(竹)たしかに、へやわけなどを作っていると「狙ったわけではないんだけど、こうするしかない」という場面がけっこう出てきますよね。スリザーリンクではそういう場面は少ないと思います

けんじゃほかには橋をかけろを解くのも好きです。暇があったらいつでも解く気になる、というくらいには好きです。空いた時間に解きやすいのがいいですね。作るのは難しいパズルですけど

(竹)苦手なパズルは?

けんじゃカックロは解けるようになるまで時間がかかりました。高校に入るまでまったく解けませんでした。合計の分解の考えかたがわからなかったんです。ケータイパズル数独で小さいサイズのカックロをいっぱい解けたから、それで解きかたを覚えました

(竹)ケータイパズル数独は、以前ニコリがケータイ(フィーチャーフォン)向けに運営していたパズルサイトです。あのサイトにそんな効用があったとは

けんじゃ作るほうだと、数独があんまり得意じゃないです。難しい問題を作ろうとしても、カンタンになってしまう。うまく作れる人はすごいですよ。数独に限らず、問題として成立させるのがまず難しい、というパズルは苦手です

(竹)問題を作るときに、最初から展開や難易度を決め手から作るタイプですか?

けんじゃ最初から「こういうふうにしよう」と考えることはあまりありません。出たとこ任せです。作っていて「ああ、こういう展開になってきたか!」と自分でもびっくりするくらいがいいです。ライブ感が大事。いい展開になるかどうかは完全に運なんですが、そのぶん気合いを入れて、集中して作っていますよ。ボクの場合、何日もかけて作るよりも、2時間くらい集中して一気にダーーって作るほうがいい問題ができます

(竹)好きなパズル作家は?

けんじゃれーにんさんです。ボクの中では、オモパの原点です。nikoli.comの作家だと、小山雲丹さんの問題が好きです。スリザーリンクで、「この数字がなくても問題は成立する」という数字があまりないところがいい。自分で問題を作るときも、数字をできるだけ減らしたいんです。あまり数字を減らすとお決まりのパターンばかりになるから、おもしろいものを作るのはタイヘンなんですけどね

(竹)パズル以外の趣味はなんですか? 水泳は今でも好き?

けんじゃ好きです。実は、今日もここに来る前に泳いできました。2時間でトータル5000メートル

(竹)元気だなあ

けんじゃ水泳以外だと鉄道が趣味です。いわゆる「乗り鉄」です。新潟から南西にある鉄道路線はだいたい乗りつぶしました。最近だと、JRの周遊きっぷが廃止になる直前に、記念に福岡と長崎を周遊きっぷで乗りつぶしましたよ。周遊きっぷは目的地までの行き帰りの乗り継ぎルートを自由に作れるから、福岡から千葉まであちこち遠回りするルートを作りました。あまりに複雑なルートだったみたいで、切符を実際に発行してもらうまでに4日ほどかかりました。ヘンなルートの切符を作るのはパズルみたいでおもしろいです

(竹)同じ路線を重複して通ったらいけない決まりなどがあって、たしかにパズルっぽいですよね。パズルは今後も作り続けますか?

けんじゃ当然、作っていきたいです。パズルはボクの原点、心の底にあるものです。やってて純粋におもしろいし、楽しいです。ただ、最近は昔みたいに「ひたすらガリガリ作っていく」ということをやれていないですね。今後はもっと全力投球していきたいです。いちど集中しだしたらのめりこむ性格なので、それを活かしていきたいです

(竹)おお、それは楽しみです。全力投球の問題、お待ちしています。最後に解き手のみなさんへのメッセージをお願いします

けんじゃ気合いを入れて問題を作っています。解いたときになにかを感じてもらえたら、うれしいです。問題への感想やメッセージは大歓迎です。ほめられると図に乗っちゃう性格なので、どしどしお願いします


インタビュー : 2013年9月 2013年9月18日公開