作家インタビュー第21回 Gutenさん

インタビュー作家座談会

Gutenさんはサラリーマン。現在、バカボンのパパと同じ年齢だそうです。雑誌の『パズル通信ニコリ』では常連作家ですが、nikoli.com、ニコリのケータイパズル数独では、2008年12月から作品が出題され始めたフレッシュマンです。

(竹)まずは幼いころの話から。どんなお子さんでした?

Guten昔のことはあまり記憶にないんですが、迷路や、双六のようなゲームを作っていたことを覚えています。新しい遊びを考えるのが好きでした。ボールを使った新しいスポーツを考えたり。新しいといっても、ドッジボールの変形といった程度のものですけど

(竹)数字を使ったパズルを始めたのはいつごろですか?

Guten中学校のころに『パズル通信ニコリ』を本屋で見つけて、なんとなく買ってみたのが始まりです。号数はまだ1ケタで、不定期刊でした

(竹)もう20年以上も前のことですね。『パズル通信ニコリ』は現在は季刊ですが、創刊直後の数年間は不定期発行の雑誌だったのです。どんな印象でした?

Gutenかなり衝撃的でした。なんてふざけた雑誌だろう、と(笑)。気に入ったので、何年間か買い続けました

(竹)行き当たりばったりで、好き勝手に遊んでいる雑誌でしたからね。発売日も不定期でしたし。数年たって買わなくなって、また戻ってきたのはいつですか?

Guten2003年の正月です。久しぶりに本屋で立ち読みしてみたら、オモパのコーナー(新しいペンシルパズルのルールをみんなで考えるコーナー。毎号、新しい『オモロパズル』略して『オモパ』が生まれています)を見つけました。読んでいるうちに、自分でも作ってみたくなったんです。投稿するにはあて先が必要なので、本を買いました

(竹)あて先を調べるために『パズル通信ニコリ』を買ったというのは珍しいパターンですね。オモパはすぐにできたんですか?

Gutenはい。初掲載はうずしお(数字を埋める定番パズル・波及効果に、渦に見立てたヒントを加えたパズル。108号に掲載)です。1年くらいオモパばかり作っていました。たくさん送りましたよ。ただ、いま考えると自分でも相当ヒドイできのものもあったような気がします。当時はなぜか異常に自信過剰だったんですよ。送ればどんどん載るだろうと思ってました。とんでもない勘違いでした

(竹)なるほど。オモパ以外の定番パズルを作り始めたきっかけはあるんですか?

Gutenあります。実際にオモパの投稿を始めてみたら、1年かけて1つしか採用されなかったんです。莫大な労力の割にあわないと思って、当時好きだったましゅを作ることにしました。これも簡単に作れそうだし、送れば載るだろうと思っていたら、本当に2号連続で載ってしまったんです。それですっかり天狗になってしまい、ほかの定番パズルの問題も作り始めました

(竹)そのあとは順調に定番パズルも掲載されるようになったんですね

Guten毎号パズルが掲載されるようにはなりました。でも、最初に思っていたほどには載らなかったんですよね。なぜあまり載らないんだろうと思って、他人の問題をマジメに解いてみました。それまではオモパが一番だったので、ほかのパズルはなんとなく解いていたんです。ちゃんと味わって解いてみると、難しい問題ばかり作ればいいってもんじゃない、ということがわかってきました。さりげなく作ってあるように見える問題でも、実はよく考えて作られていることに気づいたんです。そこから定番パズルも面白くなってきました

(竹)確かに、難しい問題でも簡単な問題でもよく考えて作らなければいい問題はできませんからね。そういうわけで定番パズルも積極的に作り始めたGutenさんですが、オモパはいまでも作っているんですか?

Gutenはい。毎号、1つは新しいオモパを投稿するようにしています。といいつつ、今月はまだアイディアが出てないんですけど…がんばります

(竹)ケータイパズル数独で扱っているパズルの話に戻ります。パズルを作るとき、問題の難易度や解き進めるときのシナリオは先に決めてから作り始めるタイプですか?

Guten難易度は決めてから作り始めます。でも、途中で気が変わって違う難易度にしちゃうことも多いです。シナリオについては、先に考えることもあればそうでないこともあります。自分はまだ新人作家で経験が足りないと思っているので、なるべくいろいろな作りかたに挑戦しているんです。最後に決まるゴールの部分を先に作ったり、まったくアドリブで作り始めたり。いろいろやってみて、自分にあったやりかたを見つけたいと思っています。模索中です

(竹)努力家ですね。慣れていない作りかたをすると時間もかかりますよね

Guten実は作るのは速いんですよ。たとえば、ましゅのジャイアントだと1~2時間でできちゃいます。ただ、そのあとの解き直しや修正作業にすごく時間をかけています。ボクの場合、問題を作るときは視野が狭くなるらしくて、作っているあいだはいくら考えても気づかないことがたくさんあるんです。なので、解き直して手を入れています。解き直した結果、自分でボツにしてしまうこともありますよ。作った問題のうち、実際に投稿するのは3分の2くらいです

(竹)好きなパズル、嫌いなパズルはありますか?

Gutenだいたい、どのパズルも好きです。パズルごとに、こういう問題は好き、こういう問題は嫌い、というのはあります。たとえば美術館でいえば、数字のナナメ隣に照明が置けないことがわかったときに、それを使って別の数字をダイレクトに決める手筋がありますよね。あれを使った問題は好きじゃないんです

(竹)えーと、わかりにくいので一例を挙げてみます。盤面の左端に2があるとします。すると、2のナナメ右上のマスには照明が置けません。その照明が置けないマスの右隣に3があると、3の周りの照明の置きかたは決まってしまいます。という手筋のことですね。よく使われる高等手筋だと思いますが、どうして嫌いなんですか?

Guten3があっけなく決まってしまうのが短絡的に感じるから、かもしれません。照明が置けないマスが決まったときには、それを直接利用して何かを決めるんじゃなくて、そのマスを照らす照明を別のところから探してくるような手筋が好きなんです。あくまで個人的な好き嫌いの話ですけど

(以降、スリザーリンクやましゅの手筋についての深い話がしばらく続きましたが、深すぎるので割愛します)

(竹)いやあ、手筋に対するこだわりが尋常じゃないですね。理想のパズルというようなものはありますか?

Guten究極の目標は『泣けるパズル』です。解けた瞬間に感動の涙を流すような問題。面白い問題や笑える問題、怒る問題というのは見かけますけど、泣ける問題というのはボクは見たことがありません。いつかは作りたいです。いまのところ何の手がかりもないですけど。もう少し現実的な目標は『意外性の連続なんだけど、さらさら解ける問題』です。難しいのにさらさら解ける問題ってあまりありませんよね。バランスがよければきっとできると思うんです。でもいまはまだ、さらさら解けない、途中でひっかかる問題しか作れてないです。遠大な計画ですね

(竹)今回はずいぶん濃いパズルの話になってしまいました。休憩を兼ねて軽い話題を。休みの日は、パズル以外ではどんな過ごしかたをしていますか?

Guten妻や子どもと一緒に外出しています。買い物に行ったり、温泉に行ったり。子どもは2人いるんですが、上の子はもうパズルを解いています。自分で迷路を作ったりもしているみたいです

(竹)血は争えませんね。将来が楽しみです。そろそろお開きにしたいのですが、その前に1つだけ。Gutenさんにとって、パズルとは何ですか?

Guten無難に答えると、娯楽、エンターテインメント。もう少し突っ込むと、脳と時間の無駄遣いです。もともと人生って、時間の無駄遣いのようなものじゃないですか。マズローの欲求段階説じゃないですけど、人間の欲求ってレベルが高いほど『役に立たない』方向に向かっていくと思うんです。パズルを作ったり解いたりするのって、現実の役に立たない。だから、パズルを作ったり解いたりしたいと思う気持ちって、すごくレベルが高い欲求だと思うんです。役に立たないことが生活の一部になっている。こんな贅沢な話はないと思います

(竹)ありがとうございました。パズルのインタビューでマズローの名前が出てくるとは思いませんでした(笑)。最後に、パズルを解いているみなさんへのメッセージをお願いします

Guten難しい問題だけでなく、さらさら解ける簡単な問題も味わってください。じっくり解いてみると意外と味があります。それから、ボクはまだ経験不足なので、自分の問題が単体としてどう思われるかはあまり気にしていないです。だから、nikoli.comやケータイパズル数独を全体として楽しんでいただければ、それだけでうれしいです。ぜひ楽しんでください


インタビュー : 2008年12月 2009年1月12日公開