作家インタビュー第18回 中井亮平さん

インタビュー作家座談会

中井亮平さんは23歳の男性。大学院生。「最適化」について研究しているそうです。パソコンでバリバリプログラミングしているとか。

(竹)小さいころはどんな子どもでしたか?

中井亮平小学校のころは、よくサッカーや野球で遊んでいました。それから、MSX2というコンピュータでBASICのプログラムを組んで遊んでいました

(竹)そのころからプログラミングに興味があったんですね。パズルを始めたのはいつごろですか?

中井亮平小学2年生か3年生のときです。新聞の日曜版に、解くと絵が出るパズルが連載されていました。親が解いているのを見て、真似してやってみたのが始まりです。ちゃんと最後まで解けましたよ。そのあと、同じようなパズルが載っている専門誌を何冊か買って解きました

(竹)ニコリのパズルとの出会いは?

中井亮平さっき話したパズル雑誌に、スリリンに似たルールのパズルが載っていたんです。本屋で探してみたら、ニコリのスリリンのペンシルパズル本があったので、やってみました。でも当時の自分には難しかったらしく、あまり解けませんでした。悔しくて、正解のページを丸写ししていました。そのときの本はもう家にも残ってないから、たぶん捨てちゃったんでしょうね。飽きてしまって、しばらくパズルそのものから遠ざかっていました

(竹)ありゃりゃ。じゃあ、次にパズルの世界に戻ってきたのはいつ?

中井亮平中学2年生の冬です。10歳くらい上の兄がいるんですけど、その兄が『パズル通信ニコリ』をプレゼントしてくれたんですよ。面白いよって。確か『パズル通信ニコリ』89号だったと思います。今度はほとんど全部解きました。解いていて楽しかったです。特にスリリンやへやわけを気に入りました。それからはずっと『パズル通信ニコリ』を買うようになりました

(竹)なんていいお兄さんだー。そういえば、お兄さんもパズル作家ですよね

中井亮平そうですね。今は離れて住んでいるので、彼の問題が載っているのを見ると安心します。ああ、元気にやってるな、って(笑)

(竹)なるほど。最新号の『パズル通信ニコリ』124号では、お兄さんの問題のほうが多く掲載されているみたいですよ。悔しい?

中井亮平そういう気持ちはないです。特にどうかしたいとも思わないです。兄貴もヒマなんだなー、としか(笑)

(竹)パズルを作るようになったのはいつごろ?

中井亮平『パズル通信ニコリ』90号にスリリンの作り方講座のページがあって、それを読んで作り始めました。中学3年生のときかな。スリリンを中心に作ったんですけど、最初に載ったのはスリリンじゃなくてダイナリズム(当時の『パズル通信ニコリ』に載っていた、数字を使ったパズル)でした

(竹)それからはずっと?

中井亮平大学1年のころにちょっと飽きた時期がありました。けっこう興味の波があるんですよ

(竹)そうなんだ。パズルを続けてきて、よかったなーと思うことはありますか?

中井亮平知り合いが増えました。大学で学園祭の運営サークルをやっていたことがあったんですが、そこでたまたまパズルの話になったんです。そうしたら、ボクのほかにもニコリ好きの人がいた。嬉しかったです。パズルの早解き大会にもよく参加しているので、解く専門の人とも仲良くなれました。それに、こういう(インタビューの)場を作ってもらえたのもパズルのおかげです

(竹)今でもスリリンが好き?

中井亮平好きです。スリリン以外でも、ましゅとかヤジリンのような輪っかを作るものが好きです。複数の線がくっつかずに、追いかけっこをしながらにょろにょろと伸びていく感覚がいいんですよ。解くほうでいうと、LITSの難しい問題を解くのが好きです。アスピリンさんの問題とか。真似して作ろうとしてるんですけど、うまくいかないですね

(竹)逆に、苦手なパズルはありますか?

中井亮平作るほうだと、数独が苦手です。とにかくハタンするんですよね。作っている途中で。カックロも作るのが難しいパズルだと思います。黒マス(ナナメの線が入っているマス)をうまく配置するのが難しいです。ほかの作家の問題を参考にして研究しているんですけど、まだまだです。自分で作った問題なのに、解き直してみると途中で詰まってしまうんです。自分で詰まるくらいだから、他人が解けばもっと難しいはずですよね。そういう問題は送りたくないです。ひとりよがりだと思うので

(竹)中井さんはやさしい問題を作るのが得意ですよね

中井亮平そうですね。得意かどうかは自信ないけど、簡単な問題を作るのは好きです。解いていて気持ちいい問題を作りたいんです。あとは、短い時間でサクッとできるのもいいところです。たくさん作りたいので

(竹)『気持ちいい』といっても、いろいろな『気持ちよさ』がありますよね。中井さんにとっての『気持ちよさ』はなんでしょう?

中井亮平流れ、かな? あまりひねくれた方向に考えなくても、自然な流れで解けていくのを『気持ちいい』と感じます。自然な流れって、やさしい問題のほうが出しやすいですよね。だからやさしい問題を中心に作っています。もちろん、難しい問題でも、手筋がわかりやすくて自然に見えれば『気持ちいい』問題になりますけど

(竹)解くときの『流れ』は、問題を作る前に考えているんですか? それとも作りながら考える?

中井亮平作る前にだいたい決めています。解くときのシナリオを作ってから、シナリオ通りに実際の問題を作るようにしています。解く人が、自分のシナリオ通りに解いてくれるような問題を目指しています。だから、大きいサイズの問題はあんまり作りません。大きいサイズだとどうしても解くときの入り口の部分をたくさん用意する必要があるじゃないですか。そうすると、いろいろなところから解けていくので、流れをコントロールしにくい気がするんです。もっとも、技術があればうまくできるのかもしれないですけど。あとはやる気かな?

(竹)作家さんの中には、奇をてらうというか、解く人の意表を突いた問題を作りたがる人が多いですよね。中井さんはそういう問題を作りたくなったりしないんですか?

中井亮平うーん、そちらの方向はほかの人がやっているから、ボクはいいです。スタンダードなものを目指していて、それで楽しくやっているから十分です。たまに変な問題も作りますけど

(竹)パズルはどんなときに作っていますか?

中井亮平夜に自分の部屋で作っています。自然な流れを大事にしているので、落ち着いた状況で一気にガーッと作るようにしています。たとえば電車に乗っているときのような落ち着けない状況ではほとんど作りません。問題を解くことはたまにあります。電車の中で解くとしたら、数独やカックロですね。この2つは細切れに解いても楽しめるパズルなので

(竹)確かに、数独やカックロでは盤面全体を眺める必要がある問題はあまりないですね

中井亮平逆に、スリリンは全体のつながりを見る場面が多いので、電車で作ったり解いたりするのには向いてないと思っています。それに、揺れているときに線を引くとグニュグニュって曲がって気持ち悪いじゃないですか(笑)

(竹)そうですね(笑)。ということは、ふだんは手書きで問題を作っているんですか?

中井亮平はい。こんな感じでノートに書いて作ってます(と、ノートをカバンから取り出す)

(竹)どれどれ…。うわ、キレイだー。これって清書用のノートじゃなくて、作りかけの問題も書いているんですよね

中井亮平はい、だいたいこのノートで問題を作っています

(竹)ボクも手書きで作ることが多いんですけど、作業中のメモとか修正とかでぐちゃぐちゃになるんですよね。この美しさはすごい!

中井亮平そうですか? A型だからかな?(笑)

(竹)ほかに、作るときのこだわりはありますか?

中井亮平こだわりといえるかどうかはわかりませんけど、基本的に左上から作り始めています。ぬりかべみたいにマスを黒くぬるパズルだと、鉛筆で右から書いていくと手が汚れちゃうじゃないですか。解く人が紙の上で解くときのことを考えて、なるべくキレイに解いてもらうように配慮しているつもりです

(竹)なるほど、深いなあ。ちなみに、今までに何問くらい作りました?

中井亮平うーん…わかりません。数えたことないんで

(竹)じゃあ、これまでの最高傑作といえるような問題はありますか?

中井亮平そういうのはないですね。最高傑作を作っちゃったら終わりだと思っています。目標は届かないところに置いておきたいです

(竹)理想のパズル像みたいなものはありますか?

中井亮平『みんなが楽しい』といってくれるパズル。それがどんなものかはわかりませんが、きっとできると思っています。模索しながら、パズルを作り続けています

(竹)おー、キマった。では最後に、中井さんの問題を解くみなさんへのメッセージをお願いします

中井亮平気楽に解いてください。きっと解けるはずなので、安心して楽しんでください


インタビュー : 2008年9月 2008年10月15日公開