作家インタビュー第16回 ももてれうさん

作家コンテンツ インタビュー スリザーリンクの同配置問題

ももてれうさんは26歳の独身男性。常連作家として長年活躍し、去年ニコリに入社した期待の若手社員です。今回は同じく去年ニコリに入社した(竹)がインタビューしました。

(竹) 10年前、高校生のころには既に常連さんだったんですよね?

ももてれう はい。高校のころはパズルばっかりやってました。授業中には必ずパズルを作っていた気がします。おかげでテストの成績はいつも『裏百』でした

(竹) 裏百って?

ももてれう ボクが通っていた高校で使われていた隠語です。1学年に400人くらいの生徒がいたんですけど、テストがあると全員の成績の順位が張り出されるんです。それで、順位が下から100人に入る生徒が、裏百ってよばれていました。大学受験を控えた高3の夏から半年は、さすがにまずいと思ってパズル断ちをしました。でも、結局浪人しちゃったんですよね。つまり、パズル断ちしてもしなくても大学受験には関係ない、という結論になります

(竹) すごい結論だ(笑)。受験が終わってから後はずっとパズルを続けていたんですか?

ももてれう いや。大学の2年生のころはパズルの世界からドロップアウトしていました。サークル活動やバイトといった新しい世界を知ってしまったこともありますが、何より、パズル作りに対してマンネリに陥ってしまったのが大きな理由です。当時のボクには、問題を作るときに『手くせ』のようなものがありました。極端にいっちゃえば、ボクの問題を解いていくとどれも同じような展開になっていたんですよ。だから、自分が作る問題に自分で飽きちゃったんです

(竹) もともと飽きっぽい性格なのかな?

ももてれう はい、すごく飽きっぽいです。パズルに限らず、何をやっているときでも、たまに違うことをやらないとダメなんですよ。ニコリに問題を投稿していたときも、問題を書くペンの色を黒じゃなくて紫にしてみたり、原稿に書く自分の住所をわざと全部ひらがなで書いてみたり、ちょこちょこと目先を変えることをやってました

(竹) またやる気になったのはなぜ?

ももてれう ニコリがパズルのウェブサイトを立ち上げたのがきっかけです。現在のnikoli.comにあたるサイトですね。そこに坂本伸幸さんの面白いスリザーリンクの問題があって、解いた人のコメントがいっぱいついていたんですよ。それで、自分もコメントをもらえるような面白い問題を作りたいという気になりました。問題の作り方も変えました。以前は、解けるまでの過程を楽しむ『展開の妙』を気にした作り方だったんですけど、奇抜なアイディアで勝負する作り方になりました。そのほうが解く人にインパクトを与えられるし、自分でも飽きませんからね

(竹) 確かに、ももてれうさんの問題にはアイディアあふれる作品が多いですね。ネタが尽きたりはしないの?

ももてれう 今のところ大丈夫です。まったく新規に思いつくこともありますけど、他の人の問題に使われているアイディアを、形や見せ方を変えて使わせてもらうこともけっこうあります。逆に、他の作家さんもボクの問題からどんどんアイディアを流用してほしいです。パズルのアイディアって、一度二度使われただけだとそのまま埋もれてしまうものが多いと思うんですよ。もったいないじゃないですか。だから、お互いに積極的にアイディアを交換しあうのがいいと思っています

(竹) なるほど。その後、ニコリへ就職することになりました。経緯を教えてください

ももてれう まず、大学を4年で卒業できなかったんですよ。卒論まで書いたのに、うっかり単位が足りなくて。まさにうっかりって感じでした。2度めの大学4年生でいくつか就職活動をしたんですけど、全滅でした。内定がないまま夏に入ってしまって困っていたとき、金さん(ニコリスタッフ)から声をかけていただいたんです。一週間後に面接して、その次の週明けから研修を兼ねたバイトを始めさせてもらいました。バイトのころはお金がなくて苦労しましたよ。まあ、お金は今でもないんですけど(笑)

(竹) ニコリに入社して、仕事としてパズルの問題を作ったり解いたりするようになりました。それから1年経ちましたが、パズルに対する価値観は変わった?

ももてれう うーん。変わったかな。なんとなくですけど。ただ、どちらにしても、ケータイ数独やnikoli.comの問題についてはあえて昔と同じ姿勢で作るように心がけています。さっき言ったアイディア重視の路線ですね。それも、マニアックな考え方を使うようなものでなく、初めてパズルをやるような初心者さんにもインパクトを与えるものが理想です。いわゆる『通好み』な問題を作ることには興味はありません。どうでもいいです。初心者もエキスパートも関係なく、できるだけたくさんの人に解いて反応してもらいたいんですよ

(竹) 解いてくれた人の反応が、よい問題を作るモチベーションにつながっているわけですね。ケータイ数独でも最近『ニコリランド』のコーナーを始めたので、これからは問題に対するコメントが届くかもしれません

ももてれう 楽しみです。解いた人のコメントはとても参考になります。よい評価のものは素直にうれしいです。悪い評価のものも、それはそれでためになります。次は見返してやる、という気持ちにもなりますし

(竹) ガラッと話題を変えます。好きなパズルは何ですか?

ももてれう スリザーリンクとフィルオミノです。スリザーリンクは一時期、もうこれ以上新しいアイディアは世に出てこないだろうと思われていた時代がありました。だけど、その後に『0を桂馬飛びの形に並べる』とか『数字を長方形に固めて並べる』とかいった、まだ開拓されていないアイディアが出てきたんですよ。そういう奥深さが好きです。ボク自身、今でも新しい境地を開拓できないか模索しています。スリリン界のさすらいの旅人ですね。フィルオミノについては、ずっと最先端でがんばってきたという自負があります。最近は他の人の問題にも面白い数字の配置のものが増えていますよね。ちょっと生意気な言い方になりますけど、ようやくここまで来たか、という心境です

(竹) 昔はぬりかべをたくさん作ってましたよね。だからぬりかべも好きなのかなって思っていたんですけど、どうですか?

ももてれう 好きですよ。でも、ぬりかべはあぶら虫さんたちががんばってるので、ボクがあえて出ていく必要はないのかな、なんて思っています。って、すごく生意気ですね(笑)

(竹) まあいいんじゃないでしょうか(笑)。それじゃ逆に、苦手なパズルはありますか?

ももてれう 特に苦手というわけではないんですけど、少し前までは数独の難しい問題を作るのが下手でした。難しい問題を作ったつもりなのに、解き直してみたらイージーになっちゃうんです。社員になって、そうも言ってられなくなったので、『数独攻略ガイド』(ニコリが出している本)を見ながら必死に練習しました。今ではだいぶ思い通りの難易度の問題が作れるようになりました

(竹) まだまだ若いももてれうさんですが、あえて聞きます。40年後の自分はどんな生活をしていると思いますか?

ももてれう 先の話すぎて想像つかないです。ニコリの社長になって、毎晩梅酒が飲めるマハラジャ生活をしている、とかですかね? どうなるにしても、今の自分と同じスタンスを保ち続けたいです。若さ爆発、みたいな。ボクは囲碁が好きなんですけど、囲碁って何千年もの歴史があるのに、いまだに解明されていないことがあるんですよ。そういうのってなんかいいですよね。何歳になっても、世の中の真理を追究しているような純粋な気持ちをもっていたいです。真理を追究する姿に年齢は関係ないと思うんです。ずっと何かを追いかけていたいです

(竹) おお、いきなり壮大なテーマが出てきました。最後に、解いてくれるみなさんへのメッセージをお願いします

ももてれう 軽い気持ちで、好きに解いてください。それで、もし何かを感じたなら、その『何か』に感動してください


インタビュー : 2008年7月 2008年8月25日公開